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【レポート】墨東まち見世編集塾第3回:ドキュメントブックをつくる1

墨東まち見世編集塾 公開レクチャー+トーク
第3回「ドキュメントブックをつくる1」
日時:2012年9月30日(日)14:00-17:00
① レクチャー「アートプロジェクトのドキュメントを読み解く」:橋本誠(アートプロデューサー)
② トーク「読み物としての価値と活用方法を考える」:内沼晋太郎(ブック・コーディネーター)、齋藤歩(編集者)
キラキラ橘商店街の「墨東まち見世案内所」で、墨東まち見世編集部長とゲストによる公開レクチャー+トークシリーズ「墨東まち見世編集塾」の第3回「ドキュメントブックをつくる1」が開催されました。台風が迫る不安定な気候にも関わらず20人の参加者が集まり、嵐の前の静けさの中でも会場は大いに盛り上がりました。
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今回は、前半のレクチャー「アートプロジェクトのドキュメントを読み解く」で墨東まち見世編集部長の橋本誠さんが全国各地で行われたアートプロジェクトの特長的なドキュメント7事例を紹介しました。
「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ2009」のドキュメントは会場となった場所や場所に関わる人との関係性の移り変わりを紹介。経済効果などを明記したアンケートの集計・分析結果やA3見開き2ページ分にもおよぶ関係者・関係機関の記載も特長として挙げられました。他にも、温泉地として有名な大分県・別府で今年も開催されている芸術祭「混浴温泉世界」でまちの人の声を紹介しているページや、3人のアーティストがディレクター的な立ち位置で関わった「取手アートプロジェクト2006」のモノクロページが多くを占め、記述のアーカイブが多いという特長、大阪の中之島エリア等川辺などを多く活用して開催された「水都大阪2009」の許可申請業務についてのページ、千葉大学のプロジェクト「WiCAN2011」の大解剖的な拠点の紹介、大阪・西成区を舞台とする「Breaker Project 2003-2005」の年度ごとに分けず3年間の流れでまとめている誌面構成、「KOTOBUKI クリエイティブアクション」の人の写真を中心とした誌面構成などの特長が紹介されました。
これら各ドキュメントの特長を調べることでアートプロジェクトのドキュメントの発行目的や編集方針、運営体制の必要性にも気付かされます。
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後半のトーク「読み物としての価値と活用方法を考える」はブック・コーディネーターの内沼晋太郎さんと編集者の齋藤歩さんに橋本さんを交え、ドキュメントの発行目的や編集体制を見直すトークセッションとなりました。
トークの冒頭で内沼さんが、前半のレクチャーで紹介された特長はできていて当たり前のことも多く「記録がとれていない体制は問題」とドキュメント編集での問題点を指摘されたことでトークは一気にヒートアップしました。アートプロジェクト自体の運営で忙しく、ドキュメントのディレクションができていないことや、編集に予算が割けないという課題も浮き彫りになりましたが、発行目的や誰のためのドキュメントなのかを明確にする必要があることが再確認されました。
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齋藤さんも「アートプロジェクトを運営することにパワーをかけているために、記録にパワーが回らない。つまり記録の方法が確立されていないのではないか」と同調し、ドキュメント編集にプロの編集者が参画することの可能性や、あらかじめ台割や誌面構成を想定し先を予想した取材体制の必要性についても話されました。
ドキュメントの目的は、アートファンに追体験をしてもらうこと、行政に検証をしてもらうこと、これからアートプロジェクトをする人の参考書として役割、関わった人のアルバムとしての役割を果たすなど複数あり、混在していることが確認され、それらを整理して構成を考え、計画的に記録をとっていく墨東まち見世編集部の役割がとても重要であることを痛感させられました。プロの編集者の視点は、これまでのアートプロジェクトの記録の中では実践できていなかったことも多く、Web媒体の活用も含め、今後はよりプロジェクトのニーズに合ったドキュメントが生まれてくる可能性を感じさせるトークになりました。
(担当:中村祐希)
第4回は12/1に開催します!→詳細

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